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絵本「パンどろぼう」のあらすじや随想

この絵本についてーユーモアと愛にあふれる大人気の絵本

作 柴田ケイコ

対象年齢:3歳~ 

出版社:Kadokawa 

出版年月日:2020年 4月

価格 1430 円(本体1300 円)


   
 はじめに


   本作は子どもたちに今、大人気の絵本です。リブロ絵本大賞受賞、TSUTAYAえほん大 

   賞1位。笑いと愛でいっぱいの絵本です。 

   シリーズには『パンどろぼうVSにせパンどろぼう』『パンどろぼうとなぞのフランス 

   パン』『パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち』『パンどろぼうとほっかほっ 

   カー』などもあります。


 あらすじと随想


   主人公は、おいしいパンを求めて走る、食パンの恰好のパンどろぼうです。

   パンどろぼうの掟は、“ふっくらやきたてをねらう。いただくパンはひとつだけ。い

   ただくときは かんしゃをこめて”。

   ある日、パンどろぼうは『せかいいちおいしい もりのパンや』というお店を見つけま

   した。

   食パンの形のそのお店からは、煙突を通して、森中においしいパンの匂いが流

   れてきます。お店の中には、とびきりおいしそうなパンがズラリと並んでいました。

   フランスパン、ウインナーパン、クリームパン。クロワッサンにコロッケパン。カレー

   パンにチョココロネ。動物パンもいっぱいです。

   早速、パンどろぼうは、かくれみのの術を使い、お店に忍び込みました。

   子ども読者にとっては、パンどろぼうがどこに隠れているかを探すのが、何よ
   
   りの楽しみでしょう。
   
   次にパンどろぼうは、はやあしの術を使い、パン屋のおじさんに気づかれないように

   フランスパンをゲットしました。そして、おじさんに見つからないようにササっとお店

   から逃げました。やがて隠れ家にもどると、待ちに待った“いとしい いとしい

   ほかほかパン”をいただいたのです。

   ところがところが、あんなに期待していたパン、おいしい?おいしい?はずだった

   そのパンは、あまりに期待外れでした。感謝どころか、こう叫ぶしかありませんで

   した。

   「まずい!!!」

   こう叫ぶパンどろぼうの顔の気の毒なほど愉快なこと!愉快といってはかわいそうで

   すが、一緒に読んでいる子どもたちの笑いも止まりません。

   そしてパンどろぼうは、あまりのまずさにどろぼうというわが身の悪行さえ忘れ、あ

   ろうことか、パン屋のおじさんのところへ、怒鳴り込んだのです。

   するとおじさんは、食パンがしゃべったので、びっくり!!

   さあ、パンどろぼうの正体は、いったい誰だったのでしょうか?

   おじさんとパンどろぼうは、どんな展開を繰り広げることになるでしょうか。

   予想をはるかに超える感動的な結末は、是非、絵本でご覧ください。

   
   
 随想とまとめ


   パンが大好き、パンどろぼう。どこかお茶目で憎めない。 

   おいしいパンを盗んでは“ん~、おいしい。ああ、やめられない!”と、至福のひと 

   ときにひたります。どろぼうするのを悪いとも思わない、やんちゃぶりです。 

   ところが、世界一おいしいはずだった「もりのぱんや」のパンは、期待はずれのまず

   さでした。しかし、そのまずさゆえに、すばらしい結末を生み出すのです。 

   辛辣な文句をつけに来たどろぼうに対して、このパン屋のおじさんは、予想外の対

   応をしました。怒るどころか、“わたしもおいしくないパンをつくって悪かった 

   が・・”と前置きをし、こっそり盗むことの良し悪しの認識と共に、パンどろぼうに

   とっても、益になる方策を提案したのです。遊びから、自己実現の認識へと

   導く、何と愛に満ちた対応だったことでしょうか! 
 
   
  
   「もりのパン屋」のおじさんの自己受容力と包容力にも、ただ脱帽しかありません。

   実は最近、私自身が欠点を息子に指摘され、激昂したことがあったので、この 

   パン屋のおじさんの言葉は、深く身にしみました。 

    自分で自分の欠点をまずいと責めている時には、誰かに指摘されると、もっと責めら

   れているように感じ、他者への攻撃スイッチを押してしまうようです。 

   しかし、「もりのパン屋」さんには、自分の作ったパンの不十分さを受け入れる謙 

   虚な認識力と度量がありました。本当の意味で、ありのままの自分を受け容れる、自 

   己肯定感が豊かだったのでしょう。 
 
   それゆえパンどろぼうは、このパンやさんとの出会いにより、今まで想像もしなかっ 
 
   た道が拓けたのですから、最高にラッキーだったに違いありません。 

   絵本はシンプルな文化財ですが、それだけに世代を超えて私たち読者に、ダイレクト 

   で瑞々しい気づきを与える最良の糧になれるのかもしれません。子どもたちが、この 

   ユーモラスで愛に満ちた絵本の大ファンである理由も納得できます。みつあみパン 
      
   やちくわパンなど、素朴なパンを編みだす笑顔のおじさんから、私自身も時に適った

   大切な人生訓をいただき、この作品の大ファンになりました。 
      
   
         
   
      
  

  

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