えほんのいずみ

絵本「こびととくつや(グリム兄弟の童話から)」のあらすじや随想

 この絵本について―天からの祝福―

絵:カトリーン・ブラント
訳:藤本朝巳

出版社:平凡社

出版年月日:2002年2月

定価:1,650円(本体1,500円)

 はじめに


   「こびととくつや」は、グリムの昔話のひとつで、絵本としても幾種類も出版され

   ています。

   なかでも本書は、絵も文章も洗練されて深みがあり、おとなの読者さんも楽しめる

   でしょう。

   ボローニャ国際児童図書展賞はじめ数々の賞を受賞し、ストーリーは名編集者ベッ

   テイーナ・ヒューリマンによります。


 あらすじ


   昔、あるところに、正直で信心深いくつやがいました。

   働き者でしたが暮らしは貧しく、ついに手元に靴一足分の革が残るだけになりまし

   た。



   そこで、ある晩、くつやはその革を靴の形に切り、翌日に靴を作ろうと残しておき

   ました。そして神さまにお任せし、ぐっすり眠ったのです。

   すると、翌朝には、みごとな靴が一足仕上がっていて、まもなくその靴は高い値で

   売れました。



   そこで靴屋は、今度は二足分の革を仕入れ、夜のうちに靴の形に切っておきまし

   た。

   すると、翌朝、今度は靴が二足縫い上がっていたのです。

   まもなく二足とも高く売れたので、今度は四足分の革を買うことができました。

   それからというもの、切った革で、夜の間にすばらしい靴ができあがっているよう

   になり、くつやはだんだんとお金持ちになりました。



   さて、このように不思議なことが続いたものですから、クリスマス間近のある晩、

   くつやは、いったいだれが自分たちの仕事を手伝ってくれているのかを、おかみさ

   んと一緒にこっそり見届けることにしました。



   すると、夜ふけに現われたのは、裸のままの可愛いこびとが二人!

   そして彼らは、休まずにたくさんの靴を縫い上げ、あっという間に消えてしまった

   のです。



   そこで、くつやの夫婦は、自分たちを裕福にしてくれたこびとにお礼をしようと、

   洋服とくつをプレゼントすることにしました。そして小さな洋服と靴を縫い上げ、

   次の晩そっと置いておいたのです。

   するとこびとたちは大喜びでおしゃれな洋服を着、くつを履いて、その後くつやの

   もとには現れませんでした。



 随想とまとめ 


   この絵本では、くつやの職人さんが魅力的に描写されている絵がすてきです。

   また、貧しいくつやを助けたのが、何も持たない裸のこびとという不思議な存在の

   尽力であったことにも胸を打たれます。

   しかし、誠実で感謝を忘れないくつや夫婦の贈りものに、彼らが労われ、「これで

   おしまい、くつづくり♪」と踊りながら出て行く場面は、このうえない喜びにあふ

   れています。



   こびとたちは、思いやりある人たちから、こんなに素敵な洋服やくつを作ってもら

   い、自分たちの役割はもう終わったと思ったのかもしれません。

   そのうえ、彼らが来なくても、それからのくつやは、することなすこと、なにもかも

   うまくいって、末永くしあわせに暮らしたということですので、こびとにとっても

   くつやにとっても、ハッピーエンドがうれしい昔話絵本です。

   天からの豊かな祝福が味わえる、クリスマス間近の絵本ではないでしょうか。



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