えほんのいずみ

絵本「手と手をつないで」のあらすじや随想

 この絵本について―手をつなぐあたたかさ―

文:マーク・スペアリング
    
絵:ブリッタ・テッケントラップ

訳:三原 泉

出版社:BL出版

出版年月日:2016年01月10日

定価:1,760円(本体1,600円)

 はじめに


   この絵本は、語りかけるような文体で季節ごとにストーリーが進んでいきます。

   抒情的なコラージュ風の絵にも、魅せられます。

   おとながパートナーと読むにも、お子さんのおやすみなさいの絵本としても適して

   いるでしょう。

   主人公たちが仲良く手をつなぐすべての場面で、心がぬくもります。

   画家のテッケントラップさんが文と絵を創作した絵本にも、『いのちの木』『かべ

   のむこうになにがある?』など、魅力的な作品が多くあります。


 あらすじと随想


   主人公は、仲良しの大きなねずみと小さなねずみ。

   絵本の最初の場面が、冬から始まるのも、今の季節に合っていて嬉しいです。

 
   「ちいさな その手を のばしてごらん。

    手と手を つなげば、ほーら あんしん。

    ちいさな その手と わたしの この手を

    つないで いっしょに でかけてみよう」


 

   彼らは手をつなぎ、鳥のたくさんいる森を通り、花咲く野原を抜け、春に向かって

   歩いていきます。

   ふたりでいると、出会う動物たちみんなが「やあ!」と明るく声をかけてくれます。

   長くて暑い夏は、おひさまの光を浴び、にぎやかに水遊び。

   そして日暮れが早くなった秋も、心配しないでだいじょうぶ。

   「いまだけ みつかる たからもの、手と手をつないで さがして」いくのです。

   どの場面も大自然が絵本の中で息づき、すがすがしさが味わえます。



   そして、雪の降る冬がめぐってくると、二匹のねずみは森の木のうろで、仲良く眠

   ります。



   「ちいさな その手をのばして ごらん。はるも なつも あきも ふゆも・・・ 

   手と手をつなげば いつも ・・・・」



   読者さんがほっこりする、すてきな結末です。



 随想とまとめ


   手をつなぐのを喜んでいた幼い子も、成長するにつれて段々おとなと手をつなぐの

   を嫌がり、ひとりで歩きたがるようになります。



   私の娘や息子が4歳で入園したのは、園バスを使わない幼稚園でしたので、親子で手を

   つなぎ、通園するのが習わしになっていました。



   娘は人見知りせず、初日から後ろも振り返らずに「行ってきまーす!」と喜んで幼

   稚園の門をくぐりましたが、息子の方は母子分離に少し時間がかかりました。

   でも、5歳の年長組になったある朝、「今日は一人で幼稚園に行きたい!」と言っ

   て手をつなぐのを拒みました。私は、「わかった。それじゃ、行ってらっしゃい!

   よく気をつけてね!」と言ったものの、やはり心配で、後からそっと付いていきま

   した。


   その日、息子の帰宅後に、「ひとりで幼稚園に行って、どうだった?」と聞いてみ

   ると、「先生にね、ひとりで来たの!っていったら、それはすごい!でも、自動車

   にぶつかったりすると大変だから、幼稚園には、ちゃんとパパやママと一緒に来て

   ね、と言われた。だから、ママ、明日は、後ろについてきてもいいよ!」と言いま

   した。

   そこで、次の朝は、桃太郎の家来のごとく、後ろから付いて行き、やがてオニごっ

   こしながら、幼稚園へ行きました。



   考えれば、幼い子が信頼のまなざしで、おとなに、その小さな手を委ねてくれる時

   期は、そんなに長くはないのかもしれません。

   この『Your hand in my hand』という原題の絵本は、子どもと手をつなぐ幸せ感を、

   新たにおとなに教えてくれると思います。

   主人公ふたりは、親子だけでなく、きょうだいや友人や恋人にも見えますが、それだ

   けにこの絵本は、あらゆる年齢の人にとって、心ぬくもる作品なのではないでしょう

   か。ですからこの絵本は、高齢になっても、おもしろく読めるでしょう。



   安全教育のための絵本ではありませんが、もちろん幼い読者さんにとっても、手をつ

   なぐことの安心感や視野のひろがりが、大いに楽しめると思います。



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