えほんのいずみ

絵本「しあわせならてをたたこう」のあらすじや随想

 この絵本について―幸せを願う歌の、
                すてきな仕かけ絵本―

作:デビッド・A・カーター

訳:きたむら まさお

出版社:大日本絵画

出版年月:2003年10月

定価:1,540円(本体1,400円)

 はじめに


   この絵本は、歌あそびでよく知られる「しあわせなら てをたたこう」を、紙工作の

   奇才デヴィッド・カーター氏が”つまみひきしかけえほん”として制作したもので

   す。子どもと楽しく読み歌ったあと、幸せなきもちになれる絵本でしょう。



 あらすじと随想


   さて、最初の場面は、一番の歌詞の登場。

    しあわせなら てを たたこう

    しあわせなら てを たたこう

    しあわせなら たいどで しめそうよ

    そら みんなで てを たたこう



   画面には、笑顔いっぱいのミケネコが両手を広げている絵。
 
   仕かけのつまみを右に引くと、ネコが両手をたたく動作をします。

 

   最初はつまみ部分が、幼児さんには動かしにくいかもしれませんが、おとなが一度

   手助けすると、スムーズに操作できるようになるでしょう。

   子どもにとっては、歌うだけではなく、画面のネコが拍手の動作をするのがおもし

   ろく、大喜びです。



   このように、各場面に、表情豊かな犬やスカンク、めんどり、ふくろう、ねずみな

   どの絵が描かれ、歌詞の方も替え歌になっています。それに合わせて操作すると、

   動物たちが楽しく動く仕かけですので、何度も動かしたくなります。シンプルかつ

   ダイナミックな仕かけに、子どもたちもうれしそうです。



   明るい色、大きな絵柄の魅力的な絵本なので、5人くらいの小集団でも使えるで

   しょう。どの子も仕かけに触れられるように、工夫できると良いですね。

  

 「幸せなら手をたたこう」の誕生秘話


   「幸せなら手をたたこう」は、1964年東京オリンピック開催の年に、歌手の坂本九さ

   んが歌って大ヒットしました。
   
   それ以来、多くの人たちに親しまれている歌ですが、作詞者は、早稲田大学名誉教

   授(ご専門は「バイオエシックス」(生命倫理学))の木村利人さんです。

   2016年すでにNHK BS1スペシャルで歌詞誕生秘話がドラマ化され、その後再々

   放送までされていますので、ご存じの方も多いかもしれません。



   木村さんの作詞は、1959年早稲田大学大学院生の時に参加した、フィリピンYMC

   Aの農村復興ワークキャンプでの驚くばかりの体験が、源になっているそうです。
  
   当時、フィリピンYMCAでの木村さんの活動は、トイレづくりなどの作業にも及

   びました。

   しかし現地はかつて太平洋戦争の激戦地であり、日本兵による戦禍の傷を負った村

   の人たちの反日感情は強く、木村さんも友好的には迎えてもらえませんでした。む

   しろ刺すような言葉を浴びせかけられ、手を差し伸べても払いのけられたそうです。


                        

   その時、木村さんは、かつて日本兵の犯した罪に、取り返しのつかない罪責感を感

   じつつ、現地の青年たちと共に、農村援助の土木工事に励みました。

   しばらくすると、木村さんをひとり好意的に受け入れてくれた、ラルフ君という青

   年が言ったそうです。



   「君が戦争でフィリピンの人を殺したわけではない。だからぼくたちが、日本人が

   来たら殺してやりたいほどに思っていたのは、間違いだった」と。

   そして共にクリスチャンとして聖書を読み、お互いに涙を流して祈り合ったそう

   です。

   実は、ラルフ君自身が戦争で家族を亡くした青年でした。

   その時、一緒に読んだ旧約聖書「詩篇」47章の「すべての民よ、手を打ち鳴らせ」

   の聖句が、後に歌詞となって実を結んだそうです。

   そして、その日を境に、村の人たちの木村さんを見る目が変わりました。

   「この人は、平和な未来を目指すためにここにいる」と認めてくれ、「態度に示

   して」親切にしてくれたそうです。



   帰国後、木村さんは、現地の小学校で子どもたちが歌っていたスペイン民謡のメロ

   ディにのせて、ラルフ君はじめフィリピンの人たちへの感謝をこめて、作詞しま

   した。

   それが、この「幸せなら手をたたこう」の歌になったのです。

   そしてこの歌は、やがて「歌をとおして幸せを、態度で示して伝え合おう。苦しん

   でいる人に、希望の光を届けよう」という願いと共に、海外へも広がっていきまし

   た。


 

   「幸せなら手をたたこう」を子どもと歌うと、沈んだ気持ちでいても思わず手をた

   たいてしまいます。歌にひっぱられて「今、恵まれていること」「幸い」が目を覚

   ますのかもしれません。



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