えほんのいずみ

絵本「マフィンおばさんのぱんや」のあらすじや随想

 この絵本について―パンをめぐるしあわせな騒動

作:竹林亜紀

絵:河本祥子

出版社:福音館書店

出版社の対象とする読者年齢:読んであげるなら3歳~
              自分で読むなら小学低学年~

発売日:1996年1月20日
(「こどものとも」299号の出版は1981年 1月 1日)

定価:990円(本体900円)

 はじめに


   本書をなつかしく思われる読者の皆さんも多いことでしょう。

   私も、幼い娘とこの作品を「こどものとも」299号で読んだのは、40年近くも前になり

   ます。

   当時、食パンの耳をパンの骨といい、「パンの骨は固いから、嫌い」という娘と一緒

   に、骨のないパンをよく作りました。

   彼女は、パン生地を粘土のように使ってお姫さまや動物を作りましたが、自分の作っ

   たパンだねがふくらんで予想外の形になるのがおもしろいらしく、けっこう固くても

   喜んで食べました。

   『マフィンおばさんのぱんや』も、何度繰り返して読んだことでしょう。

   
   本書の作者、故・竹林亜紀さんは、『じゃがいもの皮むきに魔法は使えない』『せっ

   かちまめを起こしたのは、だれ』(いずれも小峰書店)などの作品も出版されまし

   た。画家、河本祥子さんのイラスト作品には『ごきげんいかが がちょうおくさん』

   (福音館書店)『ようせいのゆりかご』(岩波書店)、その他多数あります。

   
   
 あらすじと随想


   さて、アデルジャンジャンの町に一軒のパン屋がありました。

   それが、町一番のおいしさで評判のマフィンおばさんのお店です。

   お店を手伝っているのは、アノダッテという男の子でした。


   

   ある晩、彼は、パン作りに大忙しのマフィンおばさんを手伝えるようになりたいと考

   え、今までの見よう見まねでパンを作ってみることにしたのです。

   地下のパン工房に行き、エプロンをきっちりしめた後、町の人みんなが食べられる分

   量の粉を量り、そしてマフィンおばさん特性のおまじないの粉もたっぷりふりかけま

   した。さらにジャムやほしぶどう、チョコレートなどおいしい材料を包み込んで、力

   をこめてこねたのです。

   ところが、かまどいっぱいにだねを押し込んだ後、いつの間にか火の暖かさで

   眠ってしまいました。


   

   すると、「どっしーん」という大きな音!

   焼けたパン種がかまどの扉を開け、地下室にどんどんふくれあがってきたのです。

   さらに二階のマフィンおばさんの部屋、そして屋根裏部屋まで押し寄せました。

   マフィンおばさんもアノダッテも驚いて、上へ上へと逃げました。

   やがてふたりが屋根にはい出そうとした時、ようやくパン種は止まりました。


   

   するとマフィンおばさんは、窓からはみ出した焼きたてのパンをちょっぴりつまん

   で、すてきなことを言ったのです。

   そのシンプルな言葉は、アノダッテをどんなに安心させたことでしょう。

   是非絵本でご覧ください。

   河本さんの絵の、自由闊達なアウトラインも明るい色彩も、お話の雰囲気にぴったり

   です。


   
   
 随想とまとめ


   私事ですが、ある時期パンが食べられなくなったことで、パンのおいしさに気づいた

   体験があります。

   何度か舌ガンを患った時でした。

   術後の食事は、最初、経管栄養による場合が多く、口から飲食できるようになって

   も、初期は流動食ですので、パンを噛んで食べられるようになることに、憧れまし

   た。ですから、トーストのちょっと固いパンが食べられるようになった時には、本当

   にうれしかったものです。

   そのような訳で、完治した今、朝、一枚のトーストパンに何もつけなくても、それが

   食べられるだけでしあわせを感じます。

 
   

   パンを焼く香ばしい香りに包まれた本書。

   アノダッテの思いやりと共にパン種がふくらんで、思いがけないほど大きなパンにな

   り、町中の人たちが分け合うよろこびも味わえます。

   読者の皆さんのもとにも、きっとうれしい気持ちが届くことでしょう。


   
   

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