えほんのいずみ

絵本「ねこどけい」のあらすじや随想

 この絵本について―猫をめぐるほのぼのとした絵本

作者:岸田衿子

絵:山脇百合子

出版社:福音館書店

出版社の対象とする読者年齢:読んであげるなら3歳~
              自分で読むなら小学校初級むき

発売日:2016年4月25日

定価:990円 (本体価格900円)

 はじめに



   本書は、ほのぼのとした日常の場面が、こまやかに描かれた絵本です。

   
   作者の詩人、故・岸田衿子さんは、絵本『かばくん』で親しまれてきました。

   他に『木いちごつみ』『せっけんつけてぷくぷくぷわ・・・』『このゆきだるま だー

   れ?』『てんきよほうかぞえうた』(以上福音館書店)『森のはる なつ あき ふゆ』

   (ポプラ社刊)『どうぶつはいくあそび』(のら書店)など多数の作品があります。

    
   山脇百合子さんは、実姉の中川李枝子さんとのロングセラー絵本『ぐりとぐら』シ

   リーズで人気を博している画家さんです。

   山脇さんの大ファンという方も多いことでしょう。

   背景の余白を活かした画風、登場人物や家財道具が温かく表現され、読者はその絵本

   の空間に住んでいるような、心地の良い居場所がもらえることでしょう。

   
   お話も絵も自作の作品には『ゆうこのあさごはん』『そらをとんだけいこのあやと

   り』など、訳とさし絵の絵本には『きつねのルナール』(いずれも福音館書店刊)

   があります。

   
   
 あらすじと随想


   さて、ことちゃんという女の子の家には、鳩時計があります。

   毎朝、鳩時計の窓から「くくう くくう・・」とおもちゃの鳩が頭を出して、鳴くので

   す。

   ことちゃんの家の猫のねねこは、いつもその鳩と遊びたくてたまりませんでした。

   ある日ねねこは、ことちゃんが出かけた後、たんすに飛び乗ってじっと鳩が出てくる

   のを待ちました。

   そして「くくう」と鳩が出てきた時、手を伸ばして鳩にさわろうとし時計を壊してし

   まったのです。

   もう鳩は鳴かないし、窓から出てきません。

   ねねこは、しかたなく「にゃんにゃん」といって、たんすの上に戻りました。


   

   さて、ことちゃんが家に帰ると、鳩時計が壊れているので、びっくり!

   そこで鳩時計をカートに乗せて時計屋さんまで運び、

   「とけいやさん、うちの 鳩時計 鳩が出てこないの。ねねこが 頭をたたいたから

   よ。きっと。直してくださいな」と言いました。


   

   すると、鳩時計だけでなくネコ愛にもあふれる時計屋さんは、ねねこに小さな家を

   作ってくれたのです。

   丸い窓のあるかわいい家で、ねねこは大喜び!

   その家をたんすの上に置いてもらうと、とてもすてきな猫時計になりました。

   どんな時計かは、ぜひ絵本でご覧ください。


   
   
 随想とまとめ


   猫は暖かい空間はもちろんのこと、狭くて小さな段ボールなどに入りたがる習性があ

   るようです。

   わが家にいた保護猫たちも、ちょっとダンボール箱を置いておくと、よく何匹も一緒

   に狭い所に入っていました。うちでは、それを猫の箱詰めと呼んでいました。


   

   ですから、ねねこも鳩と友だちになりたくて、鳩のいるちょっと窮屈な時計の中に

   入ってみたかったのでしょう。

   本書には、ねねこが鳩時計にさわろうとする仕草がたくさん描かれていますが、その

   何ともかわいいこと!

   子どもたちだけでなく、猫好きさんも、うれしくなる絵本でしょう。


   

   ところが、ねねこは、勢いあまって時計を壊してしまいました。

   しかし壊してもことちゃんに叱られたりはしなかったのです。

   それどころか、鳩と鳩時計に興味を持っている猫ということで、時計屋さんに家まで

   作ってもらったのですから、しあわせな猫でしょう。

   さらに猫時計として、ねねこのおもしろさが加わるのです。

   いたずらも温かく見守られたというお話の流れがあるので、いっそうこの絵本のほの

   ぼの感が増すのではないでしょうか。


   

   ことちゃんとねねことの仲の良さ。

   最後の場面でお母さんがおやつを持って登場し、猫時計になったねねこに寄り添うあ

   たたかさにも、心がぬくもります。


   
   

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