えほんのいずみ

絵本「きみの町に星をみているねこはいないかい?」のあらすじや随想

 この絵本について―ネコの正体

作・絵:えびな みつる

出版社:架空社

出版社の対象とする読者年齢:3歳~

発売日:2020年2月21日

定価:1650円(本体価格1500円)、電子書籍800円(kindle版)

 はじめに



   子ども時代、私は、八ヶ岳山麓の祖父母の家で異母妹や従姉妹たちと一緒に夏休みを

   過ごさせてもらいました。

   祖父母は夏野菜の収穫や出荷で多忙でしたが、私たち子どもは昼間、どこまで続くか

   わからない広々とした畑や森で遊び、夜は限りなく美しい星空に見とれました。

   本当は星があんなに沢山あるのに、都会では見えないことが不思議でした。

   
   この絵本は、宇宙や星が日常とつながる、奇想天外な視点のおもしろい作品です。

   各場面の文字が少なく、絵が大きくじっくりと見られるので、小学生から大人の皆さ

   んまで、ストーリィの意外な展開に思わず引き込まれるでしょう。

   
   えびな氏は漫画家ですが、天体についての造詣が深く、星に関する絵本や挿し絵の作

   品も数多くあります。

   本書以外の作品は『コメットハンティング 新彗星発見に挑む』(誠文堂新光社)、

   『すぐにさがせる!光る星座図鑑』(旬報社)、『おとうさんにもらった』(架空

   社)、挿し絵の作品として『ほしにむすばれて』(文研出版))、『はじめての天体観

   測 楽しむことからはじめよう』(誠文堂新光社)その他。

   
   
 あらすじと随想


   さて、本書の最初の場面は星空に天文台と流れ星の絵。

   「このおはなしは ひみつだよ」と書かれた文に、子どもたちはワクワクするでしょ

   う。


   

   主人公は天文台の助手をしている「ぼく」。

   ある晩、博士とぼくがふたりで星の観察をしていると突然ドーン!と大きな音がし

   て、うら山の湖に空飛ぶ円盤が不時着しました。

   ぼくたちは驚きましたが、中から宇宙服を着た五人の宇宙人が出てきたので、急いで

   その人たちを救助し、天文台に連れて来ました。

 
   

   ところが、宇宙服を脱いだ宇宙人たちは、なんと五人ともネコそっくりのかわいい姿

   だったのです。

   彼らは天文台の望遠鏡をのぞき、あの星が自分たちの故郷なのだといいました。

   しかし、博士は、もう円盤が湖に沈んでしまっているので、あの星へは帰れないと説

   明しました。

   すると宇宙人たちは、天文台でもらったカップラーメンを食べた後、今後のことにつ

   いて額を寄せ合ってしばらく相談したのです。


   

   しかし結局、この星に住むしか方法はないとあきらめたようでした。

   カップラーメンを食べたということは、この星の水、この星の食べ物を口にしたとい

   うことですから、暮らせないことはないでしょう。


   

   そこで博士とぼくは夜の間に五人の宇宙人たち、つまり五匹のネコたちを・・・。


   

   ですから今でも彼らはネコとして、この星で暮らしているでしょう。

   彼らを見つけるポイントは、星を見ているネコだということです!


   
   
 随想とまとめ

        ( 新入りの新ちゃん )

   ところで私事ですが、ある秋、我が家の庭に見慣れないネコが餌を食べに現われたこ

   とがありました。

   よく屋根に身を潜めている美形のネコでした。

   多分、うちが四匹の地域猫を保護していたので、誰かが庭にこのネコを置いていった

   のでしょう。

   しかし、我が家にはしっかり者の先住ネコがいるので、見つかると、すさまじい縄張

   り争いになりました。ですから、このネコは誰もいない時を見計らって、そっと餌を

   食べに来たのです。


   

   私たちはこの雄ネコを新入りの新ちゃんと呼んで、先住ねことは別に餌を上げなが

   ら、何とか里親さんを探すことにしました。

   猫ボランティアさんにも相談したところ、新ちゃんの写真がほしいといわれたので、

   できるだけ鮮明に撮れた写真をお渡ししました。

   すると、美形ゆえか予想外に早く里親さん候補が見つかり、彼の行き先が決まったの

   です。

   そこでそっと捕獲し、猫ボランティアさんに連れて行って頂いたら、このネコは女の

   子だったことがわかりました。

   「だから、新ちゃんではなく、新子ちゃんと呼ぶわ!」といわれました。

   新子ちゃんのいなくなったうちの屋根は寂しくなりましたが、寒くなる前に里親さん

   のもとで暮らせるようになったので安心しました。

   でもあの新子ちゃんは、もしかすると宇宙人だったのかも・・。

   そんなおもしろい空想ができるような、このユニークで楽しい絵本に出会えて良かっ

   たと思います。

 
   

   きっとこの絵本の宇宙人たちも、ネコとして地域になじみ、幸せに暮らしているので

   はないでしょうか。

   美しい夕焼けの場面に描かれたたくさんのネコに、作者の愛情が感じられます。


   
   

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