えほんのいずみ

 ありがとう!そしてこれからも!カル―セル・エルドラド

 としまえんの閉園と「カルーセルエルドラド」 


    1971年春から東京練馬区の遊園地「としまえん」で活躍する日本最古の豪華な回転木
    馬「カルーセルエルドラド」は、年齢を問わず多くの人のファンタスティックな夢を
    育んできました。
    しかし、残念なことに本年8月で「としまえん」が閉園することになり、「カルーセ
    ルエルドラド」の今後の行方が気がかりです。
    ですから、今回はさびしいできごとですが、これからの「うれしいできごと」を望ん
    で書かせていただきます。


 ネッカおばあちゃんにとっての「としまえん」
             と「カルーセルエルドラド」 


    としまえんは1927年に開設され、練馬に生まれた私にとっては、地元にあるとびきりす
    てきな遊園地でした。 
    幼い頃は、池の鯉に餌をやったり幼児用の乗り物に乗ったりして楽しみましたが、段々
    スピーディでダイナミックなアトラクションが増えました。
    そして「カルーセルエルドラド」はいつも輝いて、私たちを待っていてくれたのです。
    
    このカルーセル(回転木馬)は、すべての木製の乗り物が手彫りで制作されているの
    で、木馬も木豚も馬車もゴンドラも一体一体表情が違い個性豊かです。 
    「カルーセルエルドラド」がとしまえんに来てまもなく、私はよく木豚に乗りました。
    それは幼い頃、祖母と一緒にとしまえんへ行った時、園の豚が畜舎から逃げ出し、な
    ぜか豚に追いかけられたちょっと恐くておもしろい思い出があったからでした。
    
    

 「カルーセルエルドラド」の誕生から現在まで  


    「カルーセルエルドラド」は、1907年にドイツの機械技師ヒューゴー・ハッセ氏によっ
    て作られました。
    天蓋てんがいの女神や天使などの美術工芸、豪華な彫刻作品は、制作当時全盛だったアール
    ヌーボー様式で表現されていますので、カルーセルに乗って過ごす約2分30秒間は、
    遊具としての回転木馬を楽しむだけでなく、美術品に囲まれる豊かな時間なのです。
    
    かつてこのカルーセルは、制作者とともにヨーロッパのカーニバルを巡業し、各地で
    大歓迎されたそうです。
    その後、1911年にアメリカのニューヨークへ渡り、コニーアイランドの遊園地スティー
    プルチェイスで、閉園になる1969年まで興業を続けました。
    そして、さらに海を越えて日本へ運ばれ、1971年からは「としまえん」の「エルドラド
    (黄金郷)」として私たちを楽しませてくれたのです。
    2010年には『機械遺産』にも認定されました。
    
    どうか、としまえんが閉園になってもどこかで「カルーセルエルドラド」に再会でき
    ますようにと、願ってやみません。
    
    
 絶版の絵本『わたしのメリーゴーランド』を読む  

 

      『わたしのメリーゴーランド』 
      作・絵:ブライアン・ワイルドスミス 
      長瀬禮子訳 (太平社刊)
 
      「カルーセルエルドラド」に乗るとよくわかりますが、乗客は、回転木馬が音楽と共
      に回り続ける2分30秒間で、時空を超えたファンタスティックなイメージの旅にいざ
      なわれるのです。 
      それがどんなイメージなのかはひとりひとり違うと思いますが、一例として『わたし
      のメリーゴーランド』という、非常に美しく精緻に描かれた絵本を読みながら、その
      イメージをさぐってみましょう。
      本書は残念ながら現在絶版になっていますので、申し訳ありませんが、この絵本をご
      覧になりたい場合には図書館をご利用ください。 
      
        
 『わたしのメリーゴーランド』のあらすじ  

 
      女の子ロージーとお兄さんのトムの住む小さな町に、今年もお祭りの日が来ました。 
      ふたりはわくわくしてお祭り広場に行き、まっさきに大好きなメリーゴーランドに
      乗ったのです。軽やかにまわるメリーゴーランド、ずっと私を乗せていて!とロー
      ジーは語りかけました。
      
      ところがその冬、彼女は重い病気にかかってしまいます。
      きっと治るという希望を持たせてあげて!とお医者さんから聞き、トムは、ロージー
      の誕生日に彼女を励ましてほしいと、友だちに頼みました。
      すると6人の友だちが「早く良くなってね」とそれぞれに絵をプレゼントしてくれた
      のです。それは、ロージーの大好きなメリーゴーランドの乗り物である、雪の結晶、
      時のつばさ、お話の椅子、カンガルー、王さまの椅子、ユニコーンの絵。
      そしてトムのプレゼントはメリーゴーランドのオルゴールでした。
      ロージーはどのプレゼントもうれしく、すぐメリーゴーランドに乗りたくなりました。
      
      その夜、高熱にうなされましたが、夢の中で、不思議なメリーゴーランドの声を聴い
      たのです。そして音楽に包まれ、友だちの描いてくれたメリーゴーランドの乗り物に
      次々に乗り、新しい朝に向かって癒やされていきました。
      その後病気は治り、お祭りの日にメリーゴーランドに乗ったロージーは、語りかけま
      した。
      「ありがとう メリーゴーランド ほんとうにありがとう」と。
        
 メリーゴーランドに誘われるイメージ  

 
      音楽にのってゆるやかに回る、子どもたちの大好きなメリーゴーランド。
      メリーゴーランドに乗って繰り返し回るうちに乗り物と一体化し、希望に満ちた楽し
      いイメージが鮮明になっていくようです。ゆるやかさの中で、そばにいる家族や友だ
      ち同士のあたたかな思いも広がっていくでしょう。
      
      

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