サンタさんはクリスマスに、わるい子のところにも来てくれるだろうか、そんな不安を
抱える子どもを、ほっとさせてくれる絵本です。
さて、あしたはたのしいクリスマス。
「いいこにはサンタさんがくるよ。でもね、わるいこには?」
主人公の「ぼく」は、心配で眠れませんでした。
すると、だれかがドアをノックする音がして・・。
やって来たのは、よるくま。
「よるくま」はぼくの大切なぬいぐるみ、そして友だち。
かわいいくまの子ですが、彼はサンタさんを知りませんでした。
そこでぼくは、もみの木に飾ったサンタクロースをはずし、どんなにすてきな人かを説
明します。
でもその時、思わず「・・・ぼくにはサンタさんくるかなぁ。こないのかもしれな
いね、だって ぼく わるいこだから。きょう ママに いっぱい しかられたから」
と話してしまいました。
すると、よるくまは、ぼくの肩を抱いて慰めてくれたのです。
そのやさしさが心にしみて、ぼくは、彼のほしがったオーナメントの飛行機をプレゼン
トしました。
そして、ぼくたちはその飛行機に乗って夜空へ出発!
よるくまは、抱っこしてくれるお母さんの待つ家へ帰っていったのです。
ぼくがよるくまのぬいぐるみをもらったのは、ママに抱っこされた赤ちゃんの頃だった
なあ。
この場面は、ぼくの夢や、ぼくの回想など、いろんなふうに読みとれます。
さあ、目が覚めたら、サンタさんからのプレゼントは届いているかな。
ワクワクします。
この絵本では、ママに叱られてばかりいるぼくにもサンタさんが来てくれるだろう
かという不安と同時に、よるくまのようにママに抱っこしてもらいたいという、
ぼくの深層心理も織り込まれているかもしれません。
よるくまの願いは、ぼくの心の投影でもあるのかな。
でも、よるくまとぼくは友だち同士なので、不安を慰め合うこともできます。
その安心感が、乳幼児さんの心を癒してくれるでしょう。
私も、お母さんに叱られてばかりいた2歳のミッチ―が、クリスマスプレゼントに自転
車をもらい、「来てくれた!ほんとにサンタさん、来てくれた!」と大喜びするところ
を見ました。
彼も、クリスマスにサンタさんの愛に触れ、許しと喜びの両方を体験して、気持ちが安
定したみたいです。