貼り絵と仕掛けの名人エリック・カールさんの絵本です。
タイトルは“DREAM SNOW”。日本語版では、「ゆめのゆき」(あおきひさこ訳)
ですが、現在は品切れになってしまい、とても残念です。でも、捨てがたい一冊なの
で、今も出版されている英語版の方で見ていきましょう。
表紙には、雪の模様の銀色の粉が貼ってあるので、キラキラ光り、降りしきる雪が幻想
的です。
さて、主人公は、小さな農場のおじいさん農夫。飼っている動物たちを愛し、毎
日、世話をしました。家畜は、片手で数えられる5ひき。名前はOne.Two.
Three.Four.Five。日本語版では、イチ、ニィ、サン、シィ、ゴー。
名前が数詞というのは味気ない気もしますが、ユーモアも感じられ、言葉を覚え
始めた子どもにとって、数に親しみを感じるきっかけになるかもしれません。
家畜小屋のはずれには、Treeという名の木もあり、そばを通るたびに声をかけまし
た。
“Hello,Tree”
草花や樹木へのあたたかい言葉かけが、その成長に良い影響を与えることは実証
されていますね。
ところで、クリスマスが近づいたある夜、おじいさんは、お気に入りの椅子でいねむり
を始めました。すると夢の中で、雪が降ってきたのです。
“The snowflakes gently covered with a white blanket ”
「ゆきは しろい もうふで やさしく おおいました」
この文章は、おじいさんをはじめ、すべての動物たちに繰り返されます。
雪の毛布に見立てたセロファン紙をめくると、下に隠れた色鮮やかな動物が現われ
ますが、登場人物ひとりひとりを大切に確認する、この仕掛けのおもしろさ!
乳児さんなら、「いないいない ばあ」の遊びもできます。
さて、おじいさんが目をさますと、本当に雪が降った後でした。
そこで、急いで、木のところへプレゼントを渡しに。もちろん動物たちにもね。その姿
は、誰かさんに似ています。
何とうれしいクリスマスでしょう!
すばらしいクライマックスは、すてきな音の出る仕掛け!
きっと何度でもボタンを押して、心うるおう音を聴いてみたくなるでしょう。
この絵本は、ひとり暮らしのおじいさんが、家族のような動物や木に囲まれ、幸せに暮
らしている、そのハッピーを分けてもらえるのも魅力です。
ただこの絵本をもし日本語で読んであげるには、翻訳の必要がありそうですね。
英語版には、ボードブックとハードカバーの二種類があります。ボードブックには音の
出る仕掛けが無いので、お買い求めになる時には、よくご注意ください。