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絵本「くろうまブランキー」のあらすじや随想

 この絵本について―幼児の想像力から生まれた物語―

再話:伊東 三郎

画:堀内 誠一

出版社:福音館書店
    こどものとも傑作集

出版年月日:1967年11月1日

出版社による対象年齢:読んであげるなら 4才から
           自分で読むなら  小学低学年から

定価:990円(本体900円)

 はじめに

   この絵本は、簡潔な文章とセンスあふれる絵が、クリスマスのあたたかく澄んだ雰
   
   囲気をあますところなく表現しています。





 あらすじと随想

   主人公はやせたくろうまのブランキー。



   意地悪な飼い主にいじめられて育ちました。一生懸命働いて、飼い主の立派な家を

   建てるために尽力したのに、ブランキーは小屋も建ててもらえません。

   そこで夜には星空をながめ、雨の日には木の下で眠りました。



   やがて年をとって重い荷物が運べなくなると、飼い主はブランキーを叩きました。



   ところが、道ばたで死にかけたクリスマスの晩、やさしい人が、天からそうっと降

   りてきて、静かにブランキーの首をなで、「おまえは、わたしについてこないかな。」

   と言ったのです。そのやさしい人とは、赤い服に白いひげの・・・。



   それからというもの、ブランキーはその人のだいじな仕事のお手伝いをして、銀の

   そりをひくことになりました。



   もう叩かれる心配もなく、夜には、暖かい暖炉のそば、やさしいおじいさんの足元

   でゆっくり眠れます。



   年老いた孤独なブランキーの癒しと再生の物語です。



   この絵本はシンプルで美しい油絵の九場面の物語。

   絵で物語を理解できることは、幼児さんにとって、最高なのです。



 おわりに 

   でも、この絵本は、好きという読者と物足りないという読者の二通りに分かれるよ
 
   うです。



   物足りなさを感じるのはおとなかもしれません。なぜなら、裏表紙に表記されてい

   るように、原作が「フランスのフレネ学校幼児グループ協同創作」によるからだと

   思います。



   おとなは、ブランキーが、いじめられても声も発さず、行動もおこさない点に、も

   の足りなさを感じるのかもしれません。



   でも、原作者である子どもたち自身は、まだ自立しているわけではないのですから、
   
   ブランキーが、星空を眺めながら想像をめぐらせ、心の逃げ場を求めることになっ

   ても不思議ではないでしょう。



   地上ではなく「空に思いを馳せる」という幼児による発想が、むしろ物語を現実か

   ら飛翔させ、クリスマスらしいファンタジーを生み出している気がします。



   また偉大な人が、ブランキーを一方的に幸せにするのではなく、そりを引くという

   ブランキーの賜物が発揮され、役に立てて、子どもたちはうれしいのです。



   子どもたち自身も、本当は、全面的におとなに頼るより、どこかで自分も役に立ち

   たいと願っているにちがいありません。



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