本書は画家よしおかひろこさんの絵が可愛くてとても魅力的です。
よしおかさんの他の作品には、戸田さんとのコンビで『カエルののどあめやさん』
『カエルのうらめしやさん』などもありますが、現在は品切れのようですので図書
館などでご覧ください。
子どもたちは本書のどの場面も念入りに見て、どんな傘があるのかを確かめたがりま
す。キリン傘、カメ傘、カタツムリ傘、トリ傘にアイス傘まであるのです。
ところが、ハリネズミさんが修理してほしいと持ってきた傘は、雨の中でさすと“ほ
どど どどど”と豪快な雨もりがしました。
話は変わりますが、息子の幼稚園時代のエピソードです。
息子が、使っていた傘を壊してしまったので、誕生日にゴロピカドンの青くてかわい
い傘をプレゼントしました。しかし彼はその傘を振り回して遊び、2日後にまた
壊してしまったのです。私はせっかく買ってあげたのにとがっかりして怒り、放って
おきました。
すると息子は父親に頼んでお古の傘をもらいました。虫喰いのように小さな穴が幾つ
もあいている黒い傘。おまけに大人用なので、使いにくそうです。しかし、短気な母
親が怒っているのを知っていたので、彼は我慢してそれを使おうとしました。穴のあ
いたところには、ビニールで覆った大好きなウルトラマンの絵を内側から貼り、家
の中でも傘を小さなテントに見立てて遊んだのです。ちょっと健気でした。
そんな息子の様子を見ていて、私も、壊れたゴロピカドンの傘を早く復活させな
ければと思いました。そして傘屋さんを探し修理してもらったのです。
傘が直ると息子は喜んで、今度は傘を宝もののように大事に扱いました。
この絵本でハリネズミさんの穴あき傘は、雨を完全に遮断できないゆえに、雨好きな
仲間に愛用されました。かさやさんが雨のさまざまな魅力を知っていたからこそ生ま
れた、とてもすてきなアイディアでしょう。
豪雨は困りますが、本書はいろいろな雨音があることや、雨音の楽しさに改めて気
づかせてくれる絵本だと思います。