今から5000年くらい昔のこと、メソポタミア地方(今のイラク)の人たちは、星空の
星をつないで、動物や伝説の人を想像しました。それが古代ギリシアの神話に結びつ
いて星座が生まれたのです。さら世界中の新しい星座が加わり、今では「国際天文学
連合会議」によって88の星座が決められています。
この絵本では、その中から、四季に見られる13の星座を選んで、説明と伝説が書かれ
ています。
それらは、春の星座(おおぐま座、しし座、おとめ座)、夏の星座(ヘルクレス座、
はくちょう座、さそり座)、秋の星座(ケフェウス座、カシオペア座、ペルセウス
座、アンドロメダ座)、冬の星座(オリオン座、ふたご座、おおいぬ座)などです。
星の一日の動きや、一年の動き、星までの距離、星の明るさと色などについてもわか
りやすく図解されています。
また、太陽系の8つの惑星(水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王
星)と太陽そのものの特徴についても、要点をおさえた楽しい解説がされています。
きっと惑星の不思議な動きにも興味が湧くでしょう。
今年の夏休みは小学生の孫息子が、「調べる学習」の宿題で「オリオン座」につい
て調べたいと、図書館から「星と伝説」の本や「冬の星座」などの本を借りてきまし
た。私は星座についてほとんど知識がありませんので、オリオン座は冬の星座です
し、夏の夜空には見えないのではないかと、すこし心配でした。
ところが孫息子は現代っ子。インターネットで「夏にオリオン座は見えるのか」と検
索し、「あった!」と喜んだのです。
「オリオン座」を夏に観察したのは、お茶の水女子大学附属小学校の理科の教諭、田
中千尋先生でした。8月の北軽井沢で、夜明け前に撮影したオリオン座の写真と観察
記録が「日々の理科」(第1498号、第1499号)に掲載されています。
私にとっては、目からウロコでした。
そこで、星の基本を学ぶために、まず『星と星座のふしぎえほん』を読むことにした
のです。
この絵本でも、四季の星座が分類されていますが、ある季節の星座というのは、20時
頃に観測地の真南に見える星座だそうです。ですから、他の季節の星座も、天空にはあ
るのですが、地球の自転と公転によって、星も日周運動、年周運動をするように見える
ため、8月13日、14日の北軽井沢でオリオン座が、夜明け前の時間に観察できたとい
うことです。(田中千尋先生の解説による)
この絵本では、地球の自転と公転が、メリーゴーランドの例で解説されているのも、
わかりやすい点だと思います。
また、オリオン座を形づくる星の中でも、地球に近い星と遠い星とでは、8倍もの距
離の差があることが図解されており、驚くばかりでした。
かつて星は、現代よりさまざまな面で、暮らしに密着したものだったでしょう。
むかしは、「すばる」の星(プレアデス星団)が明け方、真南に来る時季を「そば」
の種をまく農作業の目印にしたと、図鑑で読んだことがあります。
しかし星は、人間に注目されてもされなくても、空の彼方から何百光年もの距離を超
えて、その光を現在も私たちに届け続けてくれているのですから、何と不思議な存在
でしょうか。
その背後に、空のめぐりをつかさどる神さまの大いなる愛を感じます。
宮沢賢治が童話「双子の星」で綴った、銀笛の奏でる透明な「星めぐりの歌」が思
い出されます。
2020年の東京オリンピック閉会式で歌われた歌です。
星めぐりの歌
宮沢賢治 作詞作曲
あかいめだまのさそり
ひろげた鷲のつばさ
あおいめだまの小いぬ
ひかりのへびのとぐろ
オリオンは高くうたひ
つゆとしもとをおとす
アンドロメダのくもは
さかなのくちのかたち
大ぐまのあしをきたに
五つのばしたところ
小ぐまのひたいのうへは
そらのめぐりのめあて