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絵本「こねこのチョコレート」のあらすじや随想
 
この絵本について:子どもの失敗が、家族のぬくもりの中で癒される
                                                                 

作:B・K・ウィルキンソン  

絵:大社(おおこそ)玲子  
  
訳:小林いづみ 
  
対象年齢:4歳頃~ 

出版社:こぐま社
      
出版年月日:2004年 11月

定価: 1210 円


   
 はじめに


   この絵本のストーリィの作者B・K・ウィルキンソン氏はイギリス生まれ。出版社 

   の編集者として活躍した人です。 

   「こねこのチョコレート」の物語は最初、手のひらサイズの小冊子「おはなしのろ 

   うそく」20(東京子ども図書館編)に収録されました。

   その中では、画家大社礼子さんの挿絵が、冒頭の一場面だけでしたが、その後テキス

   ト全体の流れを表現するこの絵本として、2004年に生まれかわったのです。

   物語の温かさとハラハラドキドキ感は、素話や読み語りでも味わえますが、主人公の

   心の動きを絵によって表現するこの絵本では、一層子どもたちや大人の読者の皆さん

   の想像力をかき立て、楽しませてくれるでしょう。 

   どうぞ大社さんの絵の物語る魅力を心ゆくまで味わってください!
 
   
 
 あらすじと随想


   主人公のジェニーは、4歳の女の子でした。

   彼女は弟思いだったので、弟の3歳の誕生日の前日に、お小遣いで、きれいな箱に入っ

   た「こねこのチョコレート」をプレゼントに買いました。

   ところが、その晩プレゼントを自分の部屋のタンスに隠したものの、チョコレートの

   好きなジェニーは、眠れなかったのです。

   “こねこのチョコレート、ひとつ食べたいな。箱の中には、8匹もこねこが入ってい

   るのだから、ひとつくらい食べたって、クリストファーは気にしないと思うな”と

   思い、ひとつだけ食べました。

   ところがその美味しいことといったら!ジェニーは、その味が忘れられず、やめよ

   う、と思ってもやめられませんでした。そして、ひとつ、またひとつと、箱の中のこ

   ねこの形のチョコレート8個を、その晩ひとりで全部食べてしまったのです。

   ですから、次の日、クリストファーにプレゼントを渡した時には、中身はからっぽの
   
   きれいな箱だけ。弟は箱だけのプレゼントを受け取ってがっかりしました。
   
   ジェニーは「ほんとにごめんなさい」とすすり泣きしました。

   家族のパパやママ、おばあちゃんは、ジェニーの失敗にどのように対応したでしょう

   か。みんな、ジェニーの気持ちがわかっていたので、彼女を責めることなく、温かい

   愛情を示します。偶然にも、誰よりも貢献したのは、飼い猫のティブルだったかもし

   れません。

   「元気を出しなさい、ジェニー。かしこいティブルが、ちゃんとうまくやってくれ

   たじゃないの」と、おかあさんも言いました。さて、ティブルは、どのようにこの家

   族を温かなプレゼントで包んだのでしょうか。是非絵本でご覧ください。

   
   
 随想とまとめ


   弟へのプレゼントとはいえ、大好きなチョコレートの味見をせずにいられなかった 

   ジェニー。悪気はなく、次々にチョコレートを食べてしまいます。自分のお小遣いで 

   買ったのですから、余計に食べてみたい気持ちを抑えられなかったのかもしれませ 

   ん。

   この絵本は、そのような願望や葛藤を、ユーモラスに鮮明に描くことによって、読者 

   の無意識的な願望をも顕在化させ、ストレスを解消してくれるように思います。 

   “ひとつしか食べなかったら、おなかの中のこねこもさびしがると思うな”という、 

   子どもらしい発想から、ジェニーがプレゼントを食べてしまう屈託のなさは、読者の

   皆さんのカタルシスにもなるのではないでしょうか。と同時に、読者としては心配
 
   も湧き上がってくるかもしれません。 
 
   空っぽのプレゼントの箱を見て、弟はどうするだろうか。それを見ている家族は何と
 
   いうだろうかと、ハラハラドキドキします。しかし、誰も深刻にならず、ジェニーを
 
   責めずに温かく接するからこそ、読者の皆さんが、更なるカタルシスと癒しを得られ
  
   るのではないでしょうか。

   そして、何といっても飼い猫ティブルからの思いがけないプレゼントが、最高の救い

    になるにちがいありません。

   

   「絵本ナビ」では、朝日新聞の「好書好日」に掲載された本作『こねこのチョコレー

   ト』と、画家・大社玲子さんへのインタビューが紹介されています。
 
   本作の絵を描かれた大社さんの画家としてのやりがいやご苦労がていねいに書かれて

   いる記事ですので、是非ご覧ください。  

   https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents.asp?id=1537 
     
   (絵本ナビ 連載「えほん新定番 from 好書好日」より)

   

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