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絵本「パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち」あらすじと随想
この絵本についてーパンどろぼうの誕生と自立を励ます
             ワクワクの絵本 
         

作: 柴田ケイコ

対象年齢:3歳~ 

出版社:KADOKAWA 

出版年月日:2022年 9月

価格 1540 円(ハードカバー)

kindle版 1287円(電子書籍)

   
 はじめに


   学生さんたちはもうすぐ春休みでしょうか。四月は、多くの人や子どもたちにとって、

   新天地への門出の月ともいえるかもしれません。 

   幼児から大人まで楽しめる、この『パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち』の絵本

   は、まさに主人公が新天地をめざすチャレンジ精神から、勇気がもらえます。

   現在、子どもに大人気の『パンどろぼう』シリーズの中でも、本作は、パンどろぼう 

   の誕生秘話をも含む、とびきりおもしろい作品でしょう。 

   当ブログでは、161『パンどろぼう』をご紹介しましたが、今回の『おにぎりぼうや』 

   は子どもたちにとって、一層ワクワクする興味深い絵本と言えると思います。

   第4回「TSUTAYAえほん大賞」受賞作です。 

   すでにご紹介したとおり、現在、『パンどろぼう』の絵本シリーズには、『パンどろ 

   ぼう』『パンどろぼうVS にせぱんどろぼう』『パンどろぼう おにぎりぼうやのたび

   だち』『パンどろぼうとりんごかめん』『パンどろぼうとなぞのフランスパン』

   『パンどろぼうとほっかほっカー』などがあります。 


 あらすじと随想


   さて、主人公のおにぎりぼうやの家は、美味しいおにぎりを売る、おにぎりやさんで

   した。

   しかし、毎日の食卓もおにぎりばかりなので、坊やはそれに飽きてしまい、“たま

   には、他のものも食べてみたい!“と不平を言ったのです。ところが、お父さんは

   「この世で一番おいしいのは、おにぎりだ!」と全然相手にしてくれませんでした。

   そこで腹を立てた坊やは、家を飛び出したのです。すると、坊やを食べようと襲ってき

   たのはカラスたちでした。

   しかし夢中で逃げて坂道を転がった彼は、ひとりの旅人のおじさんに出会ったので

   す。おじさんは「おにぎりがしゃべるとは!?」と不思議がりました。

   すると、坊やは「おれは、おにぎりじゃない!おにぎり坊やだ」と正体を明かしたの

   です。
   
   おじさんは、おなかをすかせた坊やにパンを分けてくれました。その美味しかったこ
   
   と!!

   その人はおいしいパンを求めて、旅をしている人でした。そして“おいしいものと出

   会うと、毎日が楽しくなる!“と食の道を説いてくれたのです。

   そこで坊やは、おじさんからもらったパンを家に持ち帰り、お父さんと、「パンとお

   にぎりでは、どちらがおいしいか?」について議論しました。

   二人は激しく意見を戦わせた末に、それぞれの良さを認め合いましたが、おにぎり坊

   やも、自分の歩む道を心に決めたのです。それは・・・。
   
 随想とまとめ


   さて、父と子の対決や子どもの自立の課題が、このように幼児もワクワクとする

   絵本の中で扱われるのは、すばらしいと思います。 

   親は良かれと思って、子どもを支配してしまうことも多く、子どもの意志が尊重 

   されない場合もあります。親の敷いたレールの上を子どもに歩ませようと、躍起

   になったりもするのです。

   しかし、それは、多分に親自身の果たせなかった願望を子どもに代理実現さ 

   せようとする心理であったり、親の不安が源にあるせいかもしれません。

   私も、父親自身が子ども時代に算数が不得手だったために、長女の私に算数を得意に

   させようと、教育虐待を強いられました。

   しかし、おにぎり坊やの場合は、お父さんとの対決があっても、子どもの意思が尊重さ

   れたのです。そうした対決と自立が絵本を通して追体験できるのは、読者の子どもたち 
  
   にとって、大きな意味を持つでしょう。

   成長後に親のパワハラを受けても、それを乗り越える原動力になるかもしれません。  

   この絵本の圧巻な場面は、結末で、おにぎり坊やに対するお父さんの愛情が絵を伴って 

   表現され、読者の子どもたちの心を限りなく励ますところではないでしょうか。
         
   
      
  

  

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