子どもたちに人気のロングセラー『ねずみくん』シリーズの一冊。
表紙の赤い縁取りも赤いページも、クリスマスらしい雰囲気でいっぱいです。
さてお話は、ねずみくんが大好きなねみちゃんに、クリスマスツリーを作るところ
から始まります。心を込め、工夫してできあがったクリスマスツリー!誇らしい気
持だったのに、あひるくんから笑われてしまいました。自分のに比べると小さい!
と。ねずみくんは、がっかり!
ところが、今度はあひるくんも、もっと大きいツリーの持ち主に、ばかにされます。
こうして、次々にツリー自慢をしては、強敵にけなされるのです。この絵本の中で
のツリー自慢は、より強くより大きくなりたいという成長への意欲なのでしょうが、
ツリーと自分が一体化しているので、ツリーをばかにされると、自分がばかにされた
ように思えてしまうようです。
私事ですが、そうした気持ちを十分に理解できていなかったために、3歳の孫息子に泣
かれたことがありました。保育園へ送って行き、クラスの友だちの前で、何気なく私
が、彼の靴下を脱がせてしまった時。ぼくは自分で靴下を脱げるのに、おばあちゃんの
せいで、友だちにかっこ悪いところを見られた!と。
さて、この絵本後半では、一番大きいぞうくんがみんなの前でツリー自慢をした時、ね
みちゃんが一番小さいツリーを持って現われたので、ねずみくん以外のみんなが、彼女
のツリーをばかにして、笑いころげました。
ところが、ねみちゃんは、いじけるどころか、「ちょうど良かった、みなさん、うちへ
いらっしゃい!」と、みんなを誘ったのです。
そこでみんなは不思議に思い、彼女の家へ行くと、何とねみちゃんが、みんなのために
作ったすてきに大きなプレゼントがありました。それが何かをここで披露してしまって
は、台無しなので、是非絵本で楽しんでください。
ねみちゃんのすばらしいプレゼントに、みんな大喜び!彼女の小さなツリーは、そのプ
レゼントの飾りだったのです。
彼女には、ただみんなを喜ばせたいという熱い思いしかなかった!
友だち思いのねみちゃんは、一枚も二枚もうわてだったのですね。
そこでみんなは、ねみちゃんへのお詫びと感謝の気持ちで、大きなプレゼントを贈りま
した。
ねみちゃんからみんなへのプレゼントも、みんなからねみちゃんへのプレゼントも、す
てきに大きかったのです。