さて、ある日のこと、お人形のマトリョーシカちゃんは、道行く人たちを家に招待
したいと思いつきました。そして「ドナーシャもクラーシャもダーシャもまってい
ます。マトリョーシカ」と貼り紙をしたのです。
すると、小さなユラユラ人形のイワンちゃんが、小さなドナーシャを訪ねてやって
きました。でも、現われたのはマトリョーシカだけで、ドナーシャ人形はいません。
そのあと、次々にどんぐり人形のイリューシャやおしゃれ人形のアンドリューシャ
が遊びに来ますが、やはりそこにいたのは、マトリョーシカだけで、クラーシャも
ダーシャもいないのです。
すると、来訪者たちは、だまされたと思い、怒り始めました。
その時、マトリョーシカは、「いいえ、わたしは みなさんを だましたりしません
よ。なぜなら、ほら このとおり」と言って、その場で、ドナーシャとクラーシャと
ダーシャを登場させたので、その楽しさにびっくり!
このからくりは、もうおわかりですね!
ロシアの人名は発音するのにちょっと大変で、読み語りしにくいところがあるかも
しれません。でも、意外なことに、それが、聴き手の子どもたちの笑いを誘います。
名前に限らず、この絵本では、人形たちが「ずんたか」踊ったり、「つんたら」歌っ
たりする副詞のおもしろさも、読者をうきうきと楽しませてくれるでしょう。
さて、ロシアのマトリョーシカの起源は、日本の箱根の入れ子だるまだと言われま
すが、その他の民芸品の中にも、起源としてうたわれている日本の入れ子細工があ
るようです。
ところで、マトリョーシカは、おもちゃとしてもさまざまな遊びができます。
たとえば赤ちゃんのガラガラ。
マトリョーシカ一体一体の中に、お米や小豆などを別々に入れて、しっかりふたを
し、赤ちゃんに握ってもらえば良いのです。人形の大きさが何種類もあるので、赤
ちゃんの手に合わせて、持ちやすいものが選べます。振ると、中身によって音が違
うので、赤ちゃんもごきげん!
幼児さんになると、マトリョーシカをバラバラにした後、組み立てたり、大きなマ
トリョーシカの中に入れたりする、入れ子遊びができます。新しい遊びを考えるの
も、おもしろい遊びですね!
さて、私のニックネームは、ネッカおばあちゃんですが、その由来がマトリョーシ
カにも関係しているので、お話ししましょう。
私事ですが、2017年のクリスマスの頃、良性の脳腫瘍の手術を受けました。手術中は
約9時間位、体の左側が下になっていたために、術後、頭の傷よりも心臓の辺りが
痛くて、湿布しても痛みはなかなか取れませんでした。
ところが、約1か月した頃、大雪が降って家の庭が雪に埋もれ、3匹の保護猫の小
屋にも雪がかかりました。猫たちが身動きできなくなる可能性が出てきたのです。
これは、大変なことになったと思い、私はオーバーを着て身支度をし、大きなシャ
ベルで雪かきをすることにしました。
退院したら、普段どおりの生活で大丈夫と言われていました。
ただ、手術して間もない頭の傷跡に寒さがしみるかもしれないと、心配になりまし
た。
その時、マトリョーシカちゃんを思い出し、ネッカチーフをかぶって、雪かきをす
ることにしたのです。左胸の痛みは、雪かきに耐えられそうでした。
すると30分ほどしたら、寒いどころかオーバーを脱ぐほど暑くなり、不思議なこと
に、左胸の痛みもすっかり消えていました。それまでは、心筋梗塞かも・・と心配
したのですが、雪かきが最善の治療法だったとは、天の恵みです!
その後、寒い日には、ネッカチーフをかぶって猫の世話をしたり、庭仕事をしたり
するようになりました。
寒がりやのおばあちゃんはマトリョーシカちゃんのおかげで、ネッカチーフ一枚で
暖かくなることを知りました。
それが、ネッカおばあちゃんの名前の由来です。
長くなりましたが、最後までご覧くださりありがとうございました。