さて、ぼくが料理教室のカレーの看板を見て、何だかカレーライスを食べたくなっ
ちゃった時、ちょうどママが「きょうの ゆうごはん なにがいい?」と聞いたから、
「カレーライス!」って、答えた。
そして材料を買いに行った八百屋さんで、くんちゃん(『くんちゃんはあきらめない
もん』(絶版)の主人公)に会い、“きょう、 ぼくんち カレーライス”と自慢した
ら、くんちゃんもカレーライス食べたくなっちゃったみたい。
それを聞いてた八百屋さんも、肉屋さんも、つけものやさんも、曲がり角で会った裏
のおばあちゃんやレストランのお客さんまでカレーライスが食べたくなった。
さらに、家に帰って、ママがカレーを作り始めたら、回覧板を届けに来た隣のおばさ
んまで「あら、いいにおい」と、どんどんうちへ上がって来ちゃう勢い。
こうして、カレー気分は次から次へと伝染して行きます。
カレーの匂いは風に乗って広がり、夕飯どきの空の色は、あかね色ではなくカレー
色。どの人もどの子も、どの犬も猫も、うっとり顔のカレー色。
フィナーレの絵の何と楽しいこと!
是非絵本をご覧ください。
ぼくが“カレーライス食べたい!”と言ったのがきっかけで、いつのまにか町中の皆
がカレーライスを食べたくなるというストーリィです。
何という伝染力でしょうか。
家でも野外でも作ろうと思えば失敗せずにおいしく作れる庶民の味。
すべての年代の男女を含めた好きな食べ物ランキングで、カレーライスは第2位と
か。
ちなみに、1位は焼肉、3位はお寿司だそうです。
カレーライスを食べたい潜在意識を、顕在化させてくれるのがこの絵本でしょう。
なぜなら、作者つちださんの描くカレーはすごく美味しそうですし、それだけでな
く、つちださん描く商店街のにぎわいが懐かしく、心があったかくなります。
それでいて、一軒一軒のお店屋さんのユニークなこと!
お店ばかりではなく、町の人も猫も犬も一人ひとりの表情がおもしろく、パワーにあ
ふれているので、何度絵を見ても読み飽きません。それはそのままカレーライスの味
と同じなのではないでしょうか。
絵が大きいので子ども集団への読み聞かせでも喜ばれ、子どもだけではなくおとなも
朗らかにさせ楽しませてくれます。
絵本の中にカレーの匂いの風が吹き、それが読者にまで伝わってきて、何だかカレー
ライスが食べたくなる不思議な絵本です。
ところでうちの孫息子もカレーライスが大好き!
つちださんのこの絵本が好きなことは言うまでもありません。
2歳の時、保育園の給食にカレーライスが出たらうれしくて、完食後、下の写真のよ
うにそのお皿を頭にかぶっちゃうほどのカレーファンでした。小学生になった今、お
皿はかぶりませんが、相変わらず大のカレー好きです。