えほんのいずみ

■ ネッカおばあちゃん、コマを回す!


 敬老会


   孫息子ミッチ―の保育園で、今年も敬老会がありました。

   今までは、夫のハットおじいちゃんが、ひとりで参加するからと出かけて行った

   のに、今年は、趣味が忙しいから行かない、と言います。

   ハットおじいちゃんの趣味は、囲碁・合唱・ピアノ。

   「それなら!」と、今年はネッカおばあちゃんが行かせてもらいました。

   ミッチ―は娘の長男で、我が家から一時間位離れた都心に住んでいます。


   さて、敬老会が始まると、自己紹介、園児さんの歌、ふうせん送りゲームのあと、

   コーナーに分かれて、孫たちと一緒に遊ぶ時間です。

   「ミッチ―はコマがいい!」というので、私もコマをとりました。

   でも、ちょっと嫌な予感。

   私はひも付きゴマをやったことがないので、コマが回せないのです。

   すると案の定ミッチ―の厳しいひとこと。

   「あ―あ、おじいちゃんだったらできるのに~!」。

   そのひとことが、ネッカおばあちゃんのヤル気に火をつけました。


 コマとの出会い


   そこでまず、ミッチ―と一緒に、よそのおじいちゃんにコマの回し方を教わりました。

   それから帰宅すると早速、通販でコマを注文したのです。

   待ちに待ったコマが届くと、ハットおじいちゃんに、「私にもコマの回し方を

   教えて!」と頼みました。


   するとおじいちゃんは、「いいよ~」と、コマを手に取り、コマの頭にひもをひっ

   かけて、裏返しにし、芯棒のまわりにさっきのひもをきれいに巻きました。それか

   らコマを放って、鮮やかに床に着地させたのです。

   そのコマのよく回ること、回ること!!

   「すごい!」

   ネッカおばあちゃんも、見よう見まねで何度もやってみましたが、すぐには回せま

   せん。コツがつかめないのです。


   そこで、次の休日、趣味で忙しいおじいちゃんの代わりに、面倒見の良い息子に

   頼み、ミッチ―と私でコマの回し方を教えてもらいました。

   そのあと、私たちは何度もチャレンジして、やっと回せるようになったのです。

   けれども、ミッチ―は悔しがって、「今度までに、できるようにしてくるから

   ね!」と、コマを二個持って帰りました。


   「私だって、できるようにするからね!」

   ネッカおばあちゃんは、ミッチ―が帰ってから、一人で練習しましたよ。百回以

   上も。


 コマに夢中



   さて2週間後に、ミッチ―がやってきました。

   そして、おもむろにコマの裏側にひもを巻き、軽々と放って着地させたのです。

   何とミッチ―はコマを回せるようになっているではありませんか!


   「すご-い!どうしてこんなに上手にコマができるようになったの?」と聞く

   と、「エへへへーッ」と笑うばかり。

   どうやら、ミッチ―は自宅でお父さんとお母さんに教わったようです。


   そこで私もミッチ―に、コマを回して見せました!

   「おばあちゃんも上手になったね!」

   ミッチ―のお褒めの言葉に、よろこびの、ハイ、タッチ!

   伝承遊びは、動画を見ても細かい動きがわかりにくいので、コツを覚えるには、

   やはり名人に教えてもらうのが、近道ですね。

   私も三人の名人のおかげで、やっと楽しくコマが回せるようになりました。

   毎日コマを回すと、体が柔らかくなり、バランスもとれるようになって、健康に

   も良さそうです。


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