作者・小田美穂さんについて
この絵本は、当ブログでご紹介した、小田美穂 作・絵『でこぼこかいじゅう
くんのおいしいものさがし』(ニコモ刊)です。
作者・小田さんについては、当ブログでも書かせていただきましたが、私が短大
の保育者養成校の教員だった時、その学校の学生さんでした。短大卒業後、小田
さんは、幼稚園、保育所、子ども園などで14年間保育者として子どもたちに関
わってきました。その間、保育実践のなかで、絵本という文化財がどんなに
子どもたちを楽しませ、心の糧になるかを実感したのです。
そこで、子どもたちの遊びや想像力を育み、子どもたちとのコミュニケーション
にも役立つ「絵本」を小田さん自身も制作したいと願うようになったそうです。
当コーナーでは、作者・小田さんの絵本に対する想いやデビュー作の出版に至
る経緯などを聴かせていただきたいと思います。
コロナ禍でもあり、お手紙による紙面インタビューです。
絵本デビューした小田美穂さんへのインタビュー
――『でこぼこかいじゅうくんのおいしいものさがし』の御出版おめでとうございま
す。この絵本を出版されるまでに、どのような想いやご苦労、そして喜びがおあ
りでしたか。
小田:保育の仕事をしながら絵本を作るには、なかなか時間がとれず、集中もできませ
んでした。でも幸か不幸かコロナ禍になり、仕事の上で休みが多くなった時に、
思いがけずまとまった時間がとれたので、集中して制作に当たれたことが、出版
につながったと思います。
自分が制作した絵本を子どもたちに読んでもらいたい、と思っていたので、完成
した時は、本当にうれしかったです。
作る過程で、特に大変だったのは、子ども達が喜んで読んでくれることを第一に
大事にしたいと思っていたのに、制作の上で、色々な制限があることでした。
ですから、ストーリィ展開、場面構成、文章を、ページ数や画面の大きさなどに
合わせるのに、苦労しました。
でも、出版できた時はすごくうれしかったし、待っていてくれた子ども達が、「ゆ
め、実現おめでとう!」と手紙をくれたり、読んだ感想を送ってくれたりしたので、
心から「ありがとう!」でした。
――小田さんが子どもの頃は、どんな絵本が好きでしたか。
小田:特に『すいかのたね』(ばばばあちゃんシリーズ、福音館書店刊)が好きでした。
母に読んでもらったのですが、「これでもこれでも くだらんたねかい」という
場面の母の読み方が面白くて、大好きでした。母の読み方を思い出すと、今でも
懐かしくなります。
それから、『ぼく まいごになったんだ』(福音館書店・在庫切れ)のくまた君が
キャンディをもらう場面や、『きつねのハブラシ』(偕成社・在庫切れ)でキャン
ディがたくさん出てくる場面がすごく美味しそうで、好きでした。
『はじめてのおつかい』(福音館書店刊)は、ハラハラドキドキしたのをよく覚え
ています。
有賀忍さんの『こんなこいるかな』(日本図書センター・新装版)のシリーズと
キャラクターも大好きで、子どもの頃使ったそのキャラクターハンカチは、今でも
大切にしまってあります。
――今は、どんな絵本が好きですか。
小田:たくさんあって、選べません。
でも、「ばばばあちゃん」シリーズや「こんなこいるかな」シリーズ、「100かいだ
てのいえ」シリーズ、「バムとケロ」シリーズなどは好きです。
――自分で絵本を制作したいと思ったのはいつ頃からですか。
また、そのきっかけなどがあったら、教えてください。
小田:高校の美術の授業で、絵本を作ったことがあったので、興味を持ちました。
もともと絵本が大好きだったので、自分のオリジナルの絵本ができたら面白いな
と思ったのです。
その後、保育者になり、子ども達の遊びや絵本の読み聞かせにたくさん関わる中
で、その魅力を一層感じるようになりました。それで、自分でもお話を考えたり
手づくり絵本を創るようになったのです。
――絵本を制作したいと思う過程で、画家や先生に師事したり、特別な研修に参加した
りという機会はありましたか。
小田:特別な研修会などに参加したことはありません。
でも、絵本について教えて頂けるような絵本作家さんのお話を伺えたことはとて
も勉強になりました。
主に、絵本作家の有賀忍さんやイラストレーターの山口マサルさんにアドバイス
を頂くことができて、勉強になりました。
――今回のデビュー絵本が出版された出版社には、どんなアプローチをしたのでしょう
か。
小田:イラストレーターの山口マサルさんの紹介で、オリジナル絵本通販サイトYOMOを
知って、連絡したのがきっかけになりました。
――今回のデビュー作に対する子ども達の反応を教えてください。
小田:主人公の目が回る場面や、たんこぶを食べて「まず―い」と言う場面を気に入っ
てくれた子が多かったです。
「わわわっ!!キャンディじゃなーい」などの言葉は、一度読むと何度でも真似
して言ってみたり、3歳でも、自分でページを繰りながら読んで、楽しんで
くれる子が何人もいました。
――今後、創作したい絵本について、何かビジョンをお持ちですか。
小田:「でこぼこかいじゅうくん」のシリーズを増やしたいと思います。それから、今、
仕事でかかわっている馬の絵本を創作できたらと思っています。